太陽光発電の買い取り終了(卒FIT)後どうするかは自分で選ぶ!3つの選択肢のメリットを解説
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太陽光発電の買い取り終了(卒FIT)後どうするかは自分で選ぶ!3つの選択肢のメリットを解説
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太陽光発電の買い取り終了(卒FIT)後どうするかは自分で選ぶ!3つの選択肢のメリットを解説

太陽光や風力・水力発電など、再生可能エネルギーを使って発電した電気を一定期間・一定の価格で電力会社が買い取る制度が、固定価格買取制度(FIT制度)です。太陽光発電を導入済みで、固定価格買取制度の契約終了(卒FIT)後にどう対処すればよいのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、卒FIT後に実施したい選択肢を3つご紹介します。売電を継続するとしても、売電先はひとつではありません。また、売電を止めてすべて自宅で消費するという選択肢もあります。それぞれの特徴やメリットなどを理解し、自身にあった選択肢を選びましょう。

 

順次固定価格買い取りが終了していく太陽光発電

2009年11月、FIT制度の前身となる余剰電力買取制度が始まりました。同制度で10年と定められた住宅用太陽光発電の固定価格買取の期間は、2019年11月以降、順次満了(卒FIT)を迎えていきます。

ここでは2023年度までの卒FITの件数や、FIT制度を取り巻く社会の動向などをおさえていきましょう。

2019年以降の買い取り終了件数の推移

経済産業省の発表するデータによると、2019年に卒FITを迎えた住宅用太陽光発電の件数は約53万件でした。累積では2021年に100万件を超え、2023年度にはおよそ165万件、電力単位にして670万kWの住宅用太陽光が順次買い取り終了に置き換わると見られています。

ただし、卒FITを迎えたからといって、FIT制度そのものが終了するわけではありません。

卒FITを迎えた2019年当時は今後も継続して売電できるかどうか不透明な状況で、「2019年問題」と言われることもありました。しかし、結果的には買い取り終了後も余剰売電を可能とする電力会社が多く出たことで、大きな混乱もなく現在に至っています。

 

原則として、買取期間が終了した電源は「自家消費」もしくは「相対・自由契約で余剰電力を売電」という選択肢に分けられます。このように卒FIT後には複数の選択肢が用意されているため、今後どのように運用しておくのかをしっかりとご自身で見極める必要があるのです。

卒FIT電源を自家消費する動きも

卒FIT後に何の対応もしないままでいた場合、自動契約更新のケースでは大手電力会社に売電が継続されます。ただし、継続した際の売電価格がどの程度になるのかはあらかじめ確認しておきましょう。

 

家庭用となる発電区分10kW未満の買い取り価格は2019年度では24円から26円となっていましたが、2023年度には16円にまで低下しています。

 

なぜ価格低下が起こったのかというと、経済産業省では買い取り価格決定の基準として「業が効率的に行われた場合、通常必要となるコストを基礎に、価格目標や適正な利潤などを勘案して経済産業大臣が定める」としています。

 

このことを踏まえると、太陽光発電の初期費用およびランニングコストは、製造技術の進歩や事業者増加による価格競争の影響などにより、大幅に下落傾向にあるという点がひとつの要因と言えます。卒FITを経過した電源は売電収入によって設置費用の回収ができており、多少なりとも利潤が発生していることが想定されるからです。今後はさらに買い取り価格の下落は続くものと想定されるため、卒FIT後の売電先は慎重に検討しなければならないのです。

 

近年は、こうした背景から電力会社への売電ではなく、電気自動車や蓄電池と組み合わせるといった自家消費に切り替えるケースも増えています。自家消費を検討する際には、蓄電池やエコキュートといった機器を導入すると、より効率よく家庭内で消費することが可能です。

次項からは、「主力電力会社への売電」「新電力会社への売電」「自家消費」の3パターンによるメリットや運用方法などを解説します。

 

主要電力会社への売電を継続する

主要電力会社とは、北海道電力や東北電力・東京電力・九州電力など全国に10箇所ある電力会社です。住んでいる地域によって管轄する会社が異なりますが、卒FIT後も売電を継続する場合、売電先候補のひとつになります。

ここからは、主要電力会社へ売電するメリットや新たな契約を結ぶ際の注意点を見ていきましょう。

 

主要電力会社に売電を継続するメリット

主要電力会社の大きな特徴は、経営基盤の盤石さでしょう。倒産などの心配が少ないという安心感は、主要電力会社との契約を検討するうえで大きなメリットだといえます。

また、地域によってはサービスを提供する新電力会社がないかもしれません。幅広い地域を安定してカバーしているのも、主要電力会社の魅力です。

主要電力会社を検討するうえで買取単価や買取プランは全国一律ではありません。地域によって異なるため、各電力会社のホームページなどで確認しましょう。

例えば、北陸電力には3つの買取プランがあります。「あんしん年間定額プラン」は年間の買取料金が1万5,000円~3万5,000円と一定です。時期や時間帯、加入電気料金メニューによっては買取単価が1kWhあたり17円にもなる「わくわく電気預かりプラン」もあります。

手続きの方法

契約終了にあたって何もしなければ、基本的には自動継続されるため、別途手続きをする必要はありません。

ただし、北陸電力のように複数のプランがある場合、どれを選ぶべきなのか事前に比較検討しましょう。選択肢が複数ある場合は何もしないままでいると、「実は他のプランのほうがお得だった」というケースも十分に考えられます。

自動継続の場合の買取単価

契約終了が近づいたお知らせが届いたあとに何もしないと、電力会社が個々に定める買取単価での売電が継続します。もっとも基本的なプランで継続した場合の買い取り価格を比較したものが、以下に示した表のデータになります。

 

電力会社名 買取価格(1kWhあたり)
北海道電力 8.00円
東北電力 9.00円
東京電力 8.50円
中部電力 7.00円
北陸電力 8.00円
関西電力 8.00円
中国電力 7.15円
四国電力 7.00円
九州電力 7.00円
沖縄電力 7.70円

 

2023年6月時点で主要電力会社の中でもっとも高い買取単価を設定しているのは東北電力で、1 kWhあたり唯一9円台に乗せています。2番目に高いのは東京電力で、1 kWhあたり8.5円に設定しています。

一方で、沖縄電力や中部電力、四国電力、九州電力は7円台と全国的にはやや低めの価格設定となっていることがわかります。

新電力会社への売電を継続する

主要電力会社以外の売電先は、「新電力会社」と呼ばれる企業です。電力の自由化が進んだことで、一見電気事業とは関係なさそうな会社や自治体が設立に関係している会社など、さまざまな会社が電力事業を展開しています。

会社によって対象エリアやプラン内容などが異なり、加入条件が主要電力会社より多いことがありますから、自分が当てはまるかきちんと確認することも大切です。新電力会社の特徴やメリット、契約を結ぶ際の注意点を解説します。

新電力会社による余剰電力買い取りの現状

2016年に電力全面自由化が解禁されたことで、一般家庭においても電力供給会社を自由に選択できるようになりました。これをきっかけに卸電力市場は急速に拡大し、新規事業者の参入が後を絶ちませんでした。

 

ところが、2022年を境に新電力会社の登録数が減少を始め、さらに倒産や事業停止に追い込まれるケースも相次ぎました。2023年3月時点では登録事業者の実に27.6%、195社が契約停止・撤退・倒産状態にある、というデータも公表されています。

これは、2022年に発生したウクライナ侵攻や円安などのあおりを受け、エネルギー価格が世界的に高騰していることなどが背景にあります。

 

新電力会社の多くは発電設備を持たないため、調達コストは市場価格と連動する仕組みになっています。これにより電力の仕入れ価格が跳ね上がり、運用の継続が難しくなった企業が増加しました。

 

また、すでに契約済みの場合は問題ないものの、新規受付を休止しているケースも見られます。新電力会社を契約する際には、買い取り価格だけではなくその会社の財務基盤やバックグラウンドをしっかりと把握しておくことをおすすめします。

新電力会社に売電するメリット

新電力会社と契約を結ぶメリットのひとつが、主要電力会社と比較して買取単価が高い傾向にあることです。例えば、先ほどのデータでは1kWhあたりの買い取り価格は東北電力の9.0円が最高額でしたが、新電力では地域によって差があるものの10円から11円台に設定している企業も少なくありません。

自社の他のサービスとのセットプランを提供している会社では、それぞれを別の会社で契約するよりお得になる料金形態もあります。ですから、電力買取サービスを提供している会社の他の商品やサービスをすでに利用しているなら、売電先の候補として検討してみるのも良いかもしれません。

また、埼玉県深谷市の「ふっかちゃんでんき」や鳥取県鳥取市の「とっとり市民電力」などでは自治体が新電力会社設立に携わり、電力の地産地消を推進しています。この取り組みは、地域における災害時のエネルギー供給の安定化や、CO2の排出削減が期待されるものです。

新電力会社に売電するときの注意点

新電力会社と契約を結ぶ際は、加入条件をしっかり確認しましょう。インターネットで調べると多くの会社が出てきますが、対象エリアは一部の地域に限られているかもしれません。工務店ではその工務店が施工した物件のオーナーであることが条件だったり、同じ会社でもプランによって買取単価が異なったりすることもあります。

 

また、新電力会社ではその会社自体の信頼度も重要です。先ほどご説明したとおり、現在は多くの事業者が事業停止や倒産に追い込まれた経緯もあり、急遽売電先を切り替える必要が出たケースも少なくありません。卒FITが始まったことによって多くの会社やサービスが生まれたことは、選択肢が広がるというメリットにつながります。しかしその一方で顧客の奪い合いになるでしょう。

 

 

一方で、近年は脱炭素化への動きが進み、再生エネルギー由来の電力需要が非常に高くなっているため、電力の買い取り自体は今後も積極的に実施する会社が多いものと予想されます。

そのため、時限的ではなく継続的に契約内容が守られ、きちんとサービスを受けられる会社であるかどうかを見極めて契約を進める、というプロセスが重要になるでしょう。

完全自家消費する

買取価格が大幅に下がったのを目のあたりにして、売電のメリットが薄れたと感じている方もいるでしょう。このような傾向から、自家消費に切り替えるというのもひとつの方法です。

自家消費の効率を上げるには、蓄電池の導入がポイントになります。蓄電池を導入するメリットや注意点をおさえましょう。

 

余剰電力を蓄電する

買取価格が高い時期は積極的に売電したほうがお得という仕組みでしたが、買取価格が下がる卒FIT後は売電よりも自家消費したほうが結果的に電気料金の削減などにつなげられるケースも少なくありません。ちなみに、余剰電力は蓄電池があれば太陽光発電できない夜などの時間帯に使えるほか、非常用電源として役立てることも可能です。

太陽光発電導入の主な目的が売電だったころ、家庭用蓄電池は使用目的や製品の選択肢が多くなかったこともあり、あまり普及しませんでした。しかし、2021年度の定置用リチウムイオン蓄電システムの出荷台数は約13万台を記録し、2016年度の3万4000台程度からおよそ4倍ほどにまで増えています。

自家発電した電力を蓄電池に貯めることができれば、買電しなければならない時間帯にも蓄電した電力から消費できます。電気料金がネックになって環境に優しいといわれるオール電化や電気自動車の導入を躊躇していた方も、検討しやすくなるのではないでしょうか。

蓄電池導入が卒FITの救世主となる訳

どの電力会社に売電したとしても、将来的に卒FIT後の買取価格はさらに下がるでしょう。契約プランによっては売電価格より、電力会社から電気を買う買電価格のほうが高くなる時間帯があるケースもあります。同じ電気を安く売って、高く買っていては損をするばかりです。

 

自家消費の場合は余剰電力を減らすために使い切ることが望ましいのですが、蓄電池を導入することで日中の電気を貯め、発電しない時間帯や多く電力を使用する時間帯に蓄電した電気を使うという運用方法であれば、ムダがなくコストの節約につながります。売電による収入は減りますが、支払う電気料金も減るためトータルで考えると自家消費したほうが出費は少なくなるでしょう。

蓄電池を導入するときの注意点

卒FITを機に蓄電池を導入する場合、既存の機器に蓄電池が対応するかを確認しましょう。せっかく蓄電池を購入しても、太陽光発電システムのパワーコンディショナと互換性がなければ運用ができません。

また、保証内容や保証期間の確認も大切です。蓄電池には、使用するうちに蓄電可能の容量が減ってしまう「サイクル寿命」があります。そのため、蓄電容量が一定値を下回った場合に無料で修理してもらえる保証があれば、より長い期間蓄電池を有効に使うことができます。

そのため、蓄電池導入の際は保証とメンテナンスサービスが充実しており、太陽光発電設備との連携にも知識のある業者を選ぶとよいでしょう。

そして、蓄電容量は太陽光発電との併設の場合、発電量に見合う容量を選びます。容量を検討する際には、家族が夜や停電の際に必要になる電力量を考えて選びましょう。

まとめ

卒FIT後は電力会社への売電を継続したり、完全自家消費に切り替えたりなど、いくつかの選択肢から選ぶことが可能です。自動更新されるからといってそのままにしておくのではなく、ライフスタイルなどに合わせて検討しましょう。もしも買取価格が大幅に下がる場合は、完全自家消費したほうがお得になるかもしれません。

効率よく自家消費するなら蓄電池の導入がおすすめですが、すでにある太陽光発電システムとの相性などを考えると、蓄電池選びに不安を感じる方もいるでしょう。そのようなときは、リベラルソリューションにご相談ください。太陽光発電や蓄電池の導入を数多くお手伝いしてきたスタッフが、お客様の希望を実現します。

全国に支社展開する業界大手のリベラルソリューションでは、災害対応も迅速です。太陽光発電買い取り終了後も安心してお得を享受する方法を模索している方はぜひ弊社のオンライン面談にお申込みください。

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