太陽光発電は「低圧」「高圧」「特別高圧」の3種類!導入効果や制度の違い
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太陽光発電は「低圧」「高圧」「特別高圧」の3種類!導入効果や制度の違い
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太陽光発電は「低圧」「高圧」「特別高圧」の3種類!導入効果や制度の違い

太陽光発電は専門用語が多いため、「低圧」と「高圧」、「特別高圧」の違いが分からない方もいるのではないでしょうか。分からないまま太陽光発電を導入すると、後になって思わぬ問題が生じるかもしれません。

 

そこでこの記事では、太陽光発電における低圧と高圧、特別高圧の3種類の違いを紹介します。それぞれのメリットとデメリットを把握すれば、目的や条件に合った設備が選べるでしょう。

 

太陽光発電は「低圧」「高圧」「特別高圧」の3種類

太陽光発電には、低圧、高圧、特別高圧の3種類があります。主に設備の規模の違いで分類しますが、発電できる電力量だけでなく法律上の扱いも異なるため注意しましょう。ここでは、それぞれの特徴について解説します。

 

低圧連系とは

低圧の正式名称である「低圧連系」とは、電気事業法上では設備容量50kW未満の小規模な発電設備である「一般用電気工作物」のことです。設備容量は太陽光パネルではなくパワーコンディショナの出力容量で決まります。

 

低圧連系は高圧よりも導入のハードルが低いのが特徴です。例えば、消防署への保安規程といった届け出や手続きが必要ありません。また、設備が比較的コンパクトで、広いスペースがなくても設置しやすいことがメリットです。

 

高圧連系とは

「高圧連系」は設備容量50kW以上2,000kW未満の比較的大規模な発電設備を指します。高圧連系の発電設備は「自家用電気工作物」と位置付けられ、設置するには低圧連系よりも複雑な手続きが必要です。専任の電気主任技術者を選出して契約する義務があるため、運用するには人件費もかかります。

 

規制が厳しく設置に必要なコストも大きいことから、工場や商業施設で運用するのが主な用途です。

 

特別高圧連系とは

設備容量2,000kW以上の大規模な発電設備は「特別高圧連系」に分類されます。安全管理審査や工事計画の届け出だけでなく、昇圧設備や鉄塔の設置義務もあり、小規模な設備に比べて多くの設置費用や管理費用が必要です。

 

ソーラーパークやメガソーラーとも呼ばれ、基本的に企業が事業目的で運用します。個人が太陽光発電を運用する際に扱うことはないでしょう。

 

太陽光発電における低圧連系のメリット・デメリット

低圧という言葉から「出力が低い」「性能が高くない」というネガティブなイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、低圧連系の設備には小規模設備ならではのメリットがあります。ここでは、低圧連系のメリットとデメリットを確認しましょう。

 

メリット

設置のハードルの低さから手軽に導入できるのが低圧連系のメリットです。保安規定の届け出が必要ないなど手続きが簡単で、初めて太陽光発電を扱う方でもスムーズに始められるでしょう。

 

高圧連系に比べて設備の導入費用や管理費用がかからないことから、初期コストを抑えて売電収入を得たい方におすすめです。土地が狭くても設備を設置できるため、住宅用の設備も充実しています。準備や工事が短時間で完了するのも魅力といえるでしょう。

 

デメリット

小規模な設備のデメリットとして、1kW当たりの設置費用が大きいことが挙げられます。工業製品は導入数が増えるほど単価が安くなるため、小規模な設備は費用対効果が悪くなりがちです。設置面積の狭さから高圧連系よりも売電収入は少なくなり、結果としてコストパフォーマンスは下がります。

 

さらに、規模にマッチした土地の坪単価は高く、安価で利便性が高い土地を探すのは困難です。広大な土地で行う大規模な発電と比べて、土地代が総費用に大きく影響することも覚えておきましょう。

 

太陽光発電における高圧連系のメリット・デメリット

高圧連系には大規模設備ならでは特徴があります。低圧連系とは収益性やコスト、設置の際の手続きが異なるため、準備や実用性には大きな差があるといえるでしょう。ここでは、高圧連系のメリット・デメリットを紹介します。

 

メリット

最大のメリットは出力が大きい設備を稼働できることです。低圧連系よりも効率良く発電できるため、大きな売電収入が見込めます。投資利回りが高く、本格的に発電で収入を得たい方におすすめです。

 

また、小規模な施設をいくつか運用するよりもコストパフォーマンスが優れているだけでなく、管理が一括でできます。費用面の課題をクリアできるのであれば、高圧連系のほうが効率的に初期投資を回収できるでしょう。

 

デメリット

効率良く設備を運用できる一方、初期費用がかかるというデメリットがあります。設備の購入費用や設置費用だけでなく、メンテナンス費用といったランニングコストが増加することも留意しなければなりません。

 

管轄消防署への届け出や電気主任技術者の選任の義務が生じるため、手続きや準備が煩雑になる点もデメリットです。高圧連系を運用するには、豊富な資金と電気事業法の知識が求められます。

 

太陽光発電における特別高圧連系のメリット・デメリット

高圧連系よりもさらに大規模な特別高圧連系は、高圧連系の特徴がより強調されます。収益の大きさに伴ってコストやリスクも大きくなるため、参入には一層慎重な判断が求められるでしょう。ここでは、特別高圧連系のメリット・デメリットを紹介します。

 

メリット

高圧連系よりさらに大規模な設備を稼働できます。発電量が膨大になり、売電収入や投資利回りが高くなるのがメリットです。1kW当たりの導入単価が安くなるため、設備の規模が大きいほどコストパフォーマンスが向上します。

 

デメリット

特別高圧連系は高圧連系に比べて導入の際の総費用や管理費用が多くかかり、個人での参入は難しいでしょう。また、売電価格は固定価格買取制度ではなく入札制度が適用されるため、単価が安くなりやすいこともデメリットです。電気主任技術者を外部委託できなくなる点にも注意しましょう。

 

高圧連系・特別高圧連系には別途費用が発生する

高圧連系や特別高圧連系を導入する際は、発電設備以外にキュービクルの設置費用や電気技術主任技術者の委託費、電力会社への協議申請といった費用が必要です。キュービクル設置費用や電気技術主任技術者の委託費は、設備容量によって異なります。いずれも低圧連系ではかからない費用であるため、費用対効果を考えて導入する容量を決めましょう。

 

太陽光発電の「パネル過積載」について

パネル過積載とは、パワコンの容量を上回るソーラーパネルを接続することです。低圧連系と高圧連系を決める際には、ソーラーパネルとパワコンのいずれか出力が低いほうを基準とします。パワコンが50kW未満であれば低圧連系で、低圧連系ならではのメリットが享受できるでしょう。

 

ソーラーパネルの容量を増やす理由は売電量の増加です。パネル過積載ではピークカットが発生するため、容量を超えて発電した電力は無駄になります。しかし、天候が悪い日は発電量が減少し、常に最大まで発電できるわけではありません。ソーラーパネルの容量が大きければ悪天候時の発電量が上がるため、売電収入が増えることが期待できます。

 

太陽光発電における低圧連系の注意点

低圧連系は初期コストや維持費が比較的安く、導入しやすいのが特徴です。しかし、運用する上で注意したいポイントを知らずに導入すると、想定していた収益を得られずに後悔する恐れがあります。ここでは、低圧連系の注意点について解説しましょう。

 

低圧分割は禁止になった

低圧分割とは、高圧連系の設備を設置できる広い敷地に低圧連系の設備を複数設置することです。高圧連系に関する設備を設置するにはコストがかかるため、設置しやすい低圧連系の設備を複数導入することで、リスクを避けてさまざまなメリットが得られます。

 

しかし、低圧分割は2014年4月以降禁止になり、実質的にひとつの場所と見なされる土地に複数の低圧連系の設備は設置できません。低圧分割と判断された設備は売電できないだけでなく、土地トラブルの原因となる恐れがあるため注意しましょう。

 

低圧連系は余剰買取のみ

2020年4月以降、低圧連系では新規で全量買取制度が適用されなくなりました。低圧連系で売電できるのは余剰電力のみで、発電した電力の3割は自家消費する必要があります。

 

本来、国は電力の自家消費による省エネを目的として、太陽光発電の導入を推奨していました。しかし、固定価格買取制度と全量買取のメリットは大きく、売電のために導入するケースが多いのが現状です。太陽光発電の自家消費を促進するために、現在は余剰買取のみを行っています。

 

低圧連系の太陽光発電では節税措置を受けられる

低圧連系の設備は「再⽣可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置」として固定資産税の軽減措置が受けられます。適用期限は2020年度末で、軽減される期間は新たに固定資産税を課せられることになった年度から3年間です。

 

設備容量10kW以上の太陽光発電は、発電出⼒1,000kW未満の場合は課税標準が2/3に、1,000kW以上であれば3/4になります。ただし、再生可能エネルギー事業者支援事業費に係る補助を受けて取得した設備に限るため、注意しましょう。

 

太陽光発電は目的に合わせて導入しよう

太陽光発電は低圧連系や高圧連系といった種類の違いにより、導入にかかるコストやランニングコスト、得られる売電収入が異なります。それぞれメリット・デメリットがあるため、どれを選ぶかは慎重な判断が必要です。

 

例えば、低圧連系は他に比べて売電収入は多くないものの、導入コストが抑えられます。一方、高圧連系は初期費用がかかりますが、費用対効果が大きいのがメリットです。設備の規模やコストを考慮して、導入する目的に合った種類を選ぶことが成功への第一歩といえるでしょう。

 

まとめ

太陽光発電は容量によって「低圧」「高圧」「特別高圧」の3種類に区分されます。導入や運用にかかる費用や得られる収益、法律上の扱いが異なるため、メリットとデメリットを把握し、目的に合った設備を導入しましょう。

 

目的やコスト、売電収入を考慮した太陽光発電を導入するには専門的な知識が必要です。太陽光発電でお悩みの方はぜひリベラルソリューションへご相談ください。お気軽にご利用いただけるオンライン面談も承っています。