家庭用太陽光発電の買取価格に関する基礎知識と卒FIT後の売電先について
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家庭用太陽光発電の買取価格に関する基礎知識と卒FIT後の売電先について
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家庭用太陽光発電の買取価格に関する基礎知識と卒FIT後の売電先について

2023年や2024年に固定価格の買取期間が満了を迎えることになり、その後の住宅用太陽光発電システムの運用方法を考えているという方もいるのではないでしょうか。

 

FITという制度や「卒FIT」という状況を正しく理解し、買取価格の将来的な予測を立てることで、安心して住宅用太陽光発電システムの運用ができます。買取価格が下落しても得をする運用方法を検討しましょう。

 

この記事では、FITや卒FITの基礎知識と、売電先の情報についてご紹介します。

 

家庭用太陽光発電のFIT制度について

住宅用太陽光発電システムでつくった電力を賢く売るなら、FITについての理解が不可欠です。10年前より買取価格が下がっているという状況については、制度の仕組みを把握すれば理解が深まります。日本や世界が抱えるエネルギー問題と関連が深い、FITという制度について見ていきましょう。

 

FITとは電力の固定価格買取制度のこと

「FIT(Feed-in Tariff)」とは、再生可能エネルギーからつくる電力を、法律で定めた固定価格で買取する制度です。世界的に広く採用されている制度であり、日本では2012年7月から「固定価格買取制度(FIT)」として運用されています。

 

FITは、2009年11月にはじまった「余剰電力買取制度」を前身とする制度です。余剰電力買取制度は太陽光発電でつくった余剰電力のみを買取する制度でしたが、FITでは水力発電・風力発電・地熱発電・バイオマス発電も買取対象とし、10kW以上の発電設備であれば全量買取も選択できます。

 

FIT制度が導入された背景

日本はエネルギー自給率が非常に低い国であり、火力発電で用いる石油・石炭・LNG(液化天然ガス)などの化石燃料は、ほぼすべてを輸入しています。2011年3月11日に起こった東日本大震災の影響で原子力発電所が停止すると、エネルギー自給率は6%ほどまでに低下しました。

 

FIT制度導入の背景としては、気候変動対策とエネルギー自給率の向上という目的で、化石燃料に頼らない、再生可能エネルギー全般による発電の普及を急務としていることが挙げられます。

 

家庭用10kW未満の買取期限

FITによる買取期間は、太陽光発電による10kW未満(住宅用)の発電設備に対しては10年間、10kW以上(産業用)に対しては20年間と決まっています。余剰電力買取制度での買取期間は一律で10年間としていたため、FIT以前に制度を利用していたなら10年間です。

 

買取価格の推移

住宅用太陽光発電システムに対しての買取価格は、2009年と2010年は48円/kW時でしたが、年々減少を続けています。FITがはじまった2012年には42円/kW時、2019年では24円/kW時(出力制御対応機器設置義務なし)、または26円/kW時(出力制御対応機器設置義務あり)です。

 

FITによる買取価格は、電気代に含まれる「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」でまかなっています。再生可能エネルギーによる発電が普及するほどに再エネ賦課金も高額となるため、不公平感をなくすために買取価格は減少していく仕組みです。

 

2019年問題と騒がれた卒FITについて

2009年末に余剰電力買取制度がスタートしてから、売電による利益を求めて、多くの方が住宅用太陽光発電システムを導入しました。住宅用太陽光発電システムを導入して10年後に訪れるのが卒FITという状況であり、これを大問題として取り上げたのが2019年問題です。2019年問題や卒FITについて見ていきましょう。

 

余剰電力の金額固定買取期限が終了しはじめた2019年

余剰電力買取制度で売電していた方は、固定価格で10年間の売電ができました。余剰電力買取制度を利用して売電していた方は、2019年11月にはじめて固定価格での買取期間が満了を迎えます。

 

これが「2019年問題」であり、高額な固定価格での売電ができなくなり、その後の計画を検討する必要がでてくるタイミングです。

 

固定価格での買取期間が満了したあとも、自由契約により電気事業者への売電はできます。しかし自由契約による買取価格は非常に安価で、売電による利益を目的としていた方にとって、買取期間の終了は悩ましい問題でしょう。

 

2023年に卒FITする対象者

「卒FIT」とは、余剰電力買取制度やFITによる、固定価格での買取期間が満了を迎えることです。余剰電力買取制度にて売電をはじめた方であっても、余剰電力買取制度を改正した制度がFITであるため、卒FITと表現します。

 

2023年に卒FITを迎える方は、2013年に余剰電力買取制度を利用しはじめた方です。買取価格が満了する数か月前に、電気事業者から「買取期間満了通知」が届きます。

 

卒FIT後も売電できる余剰電力

卒FITを迎える方にとって大きな問題は、売電価格の大幅な下落です。固定価格は高い設定であっても、自由契約となると買取価格は下がってしまいます。卒FIT後も売電を続けるなら、売電先は旧一般電気事業者か新電力のいずれかです。よりお得な売電先を見つけるために、旧一般電気事業者と新電力の違いを見ていきましょう。

 

従来通り旧一般電気事業者に売電する

卒FIT後の余剰電力は、東京電力や関西電力などの旧一般電気事業者に対して、引き続き売電する方法があります。旧一般電気事業者の買取価格は、1kW時あたり、7~9円です。

 

新電力会社に売電する

2016年の電力自由化により、電力の小売を行う「特定規模電気事業者(PPS)」が、一般家庭と売電の契約を結ぶことが可能となりました。「新電力」とも呼ばれるPPSは増え続けており、2023年3月時点での届出数は700件をこえます。

 

PPSのなかには電力の供給だけでなく買取も行っている事業者があり、買取価格の設定やサービス内容は多彩です。買取価格で見れば旧一般電気事業者より高いケースもあるため、売電先として検討の余地があるといえるでしょう。しかし場合によっては、売電するための条件として買電契約を結ぶ必要があることが注意点です。また期間が限定され、時限的であるので、さまざまな角度から比較検討することが重要です。一度、実績のある業者に相談することをおすすめします。

 

【エリア別】買取価格が最高単価の新電力会社

卒FIT後に引き続き売電するなら、売電先には旧一般電気事業者かPPSという選択肢があります。PPSによる買取価格は、条件さえ満たせば旧一般電気事業者よりも高額です。エリア別で、買取価格の最高単価を見ていきましょう。なお、PPSは複数エリアの売電に対応しているケースがあります。

 

北海道電力エリア

北海道電力エリアでは、20社以上の事業者が余剰電力の買取に対応しています。通常の買取価格は高くて11円/kW時ほどですが、条件を満たせば以下のような高額買取も可能です。

 

・15円/kW時:電気・灯油・ガス供給も契約することが条件

 

東北電力エリア

東北電力エリアでは、25社以上の事業者が余剰電力の買取に対応しています。通常の買取価格は高くて11円/kW時ほどですが、条件を満たせば以下のような高額買取も可能です。

 

・12円/kW時:特定のエリアに住宅があり、特定の蓄電池を導入することが条件

 

東京電力エリア

東京電力エリアでは、40社以上の事業者が余剰電力の買取に対応しています。通常の買取価格は高くて11円/kW時ほどですが、条件を満たせば以下のような高額買取も可能です。

 

・23円/kW時:特定の販売店にて対象の蓄電池を導入することが条件

 

北陸電力エリア

北陸電力エリアでは、15社以上の事業者が余剰電力の買取に対応しています。通常の買取価格は高くて11円/kW時ほどですが、条件を満たせば以下のような高額買取も可能です。

 

・12円/kW時:特定エリア内に住宅があり、特定の蓄電池を導入することが条件

 

中部電力エリア

中部電力エリアでは、30社以上の事業者が余剰電力の買取に対応しています。通常の買取価格は高くて11円/kW時ほどですが、条件を満たせば以下のような高額買取も可能です。

 

・12.5円/kW時:2023年9月検針日までの買取単価となり、10月以降は未定です

 

関西電力エリア

関西電力エリアでは、30社以上の事業者が余剰電力の買取に対応しています。通常の買取価格は高くて11円/kW時ほどですが、条件を満たせば以下のような高額買取も可能です。

 

・15円/kW時:特定のプロパンガスを利用し、太陽光発電設備の設置場所と電気販売先及びプロパンガス販売先が同一地点であることが条件

中国電力エリア

中国電力エリアでは、25社以上の事業者が余剰電力の買取に対応しています。通常の買取価格は高くて11円/kW時ほどですが、条件を満たせば以下のような高額買取も可能です。

 

・14円/kW時:特定の放送局のケーブルテレビもしくは、固定電話+インターネットを利用することが条件

 

四国電力エリア

四国電力エリアでは、20社以上の事業者が余剰電力の買取に対応しています。通常の買取価格は高くて11円/kW時ほどですが、条件を満たせば以下のような高額買取も可能です。

 

・16円/kW時:蓄電池やガス・電気供給も契約することが条件(一部地域のみ)

 

九州電力エリア

九州電力エリアでは、30社以上の事業者が余剰電力の買取に対応しています。通常の買取価格は高くて11円/kW時ほどですが、条件を満たせば以下のような高額買取も可能です。

 

・15円/kW時:電気および蓄電池リースを利用することが条件

沖縄電力エリア

沖縄電力エリアでは、10社未満の事業者が余剰電力の買取に対応しています。通常の買取価格は高くて9.5円/kW時ほどであり、選択肢が少ないうえ、買取価格も比較的低い状況です。

 

特定メーカーの建物に太陽光発電を搭載するという条件さえ満たせば、11円/kW時での売電もできます。

※契約期間が限定されているケースもあるのでお気をつけください。

 

まとめ

余剰電力買取制度のスタート初期に売電をはじめた方は、2023年や2024年に卒FITを迎えるタイミングかもしれません。卒FIT後には旧一般電気事業者に売電を続けることもできますが、PPSも視野に入れれば、旧一般電気事業者より高額買取が期待できるケースもあります。

 

契約後の売電収入は住宅がある地域、立地環境、設置面積から予測を立てることができます。リベラルソリューションは沖縄を除いた全国に支店を持ち、16年間の豊富な過去実績から正確なシミュレーションを元にわかりやすく説明することができます。また故障時の保証や緊急時のサポート体制も業界トップクラスであるため、トラブルにより売電収入が見込めなくなるリスクも低いです。太陽電池パネルの導入に興味がある方、検討しているという方は、リベラルソリューションにぜひご相談ください。

 

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