蓄電池と消防法の関係とは?安全に利用するために必要な知識
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蓄電池と消防法の関係とは?安全に利用するために必要な知識
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蓄電池と消防法の関係とは?安全に利用するために必要な知識

蓄電池は電力を蓄えることで、電気代の節約や停電時の非常用電源として役立つ便利な機器です。ただし、扱い方を間違えると周囲に危険が及ぶ恐れがあります。消防法を守って正しく運用することが重要です。しかし、蓄電池と消防法の関係が分からない方もいるのではないでしょうか。

 

そこでこの記事では、蓄電池の危険性や消防法との関係について解説します。蓄電池を設置する際の消防法の適用条件や届け出の方法を理解すれば、安全に蓄電池を扱えるでしょう。

 

蓄電池と消防法の関係性

家庭用蓄電池が普及しつつありますが、蓄電池を運用する際は消防法を守って正しく使用することが大事です。しかし、なぜ蓄電池の規格や扱い方には消防法が適用されるのでしょうか。ここでは、蓄電池の危険性や消防法の意義について解説します。

 

蓄電池には発火や爆発の危険性がある

スマートフォンのバッテリーが爆発したというニュースを耳にしたことがある方もいるでしょう。スマートフォンで使用しているリチウムイオン電池は、充電性能が高く耐用年数も優れていますが、衝撃に弱く膨張しやすいのが欠点です。

 

家庭用蓄電池でもリチウムイオン電池を使用しています。スマートフォンと同様に発火や爆発の危険性があるため、扱いには注意しなくてはなりません。設置の際は消防法の安全基準を満たす必要があります。

 

ただし、スマートフォンが簡単に爆発しないように、蓄電池も消防法を守って適切に扱えば事故のリスクは回避できるでしょう。

 

消防法は安全に利用するために定められている

消防法とは、火災を警戒・予防し、国民の生命や身体、財産を保護するために制定された法律です。災害発生時の傷病者の扱い方も含まれます。

 

蓄電池は適切に使用すれば人命を救うこともある便利な機器です。しかし、扱い方を間違えると爆発や発火が起き、火災の原因になる場合があります。消防法で定められた規格や設置の仕方を守って、蓄電池を安全に使用しましょう。

 

蓄電池を設置する際の消防法の適用条件

自宅に蓄電池を設置するときは、消防法の適用条件をクリアしなければなりません。条件は多岐にわたるため、全てを把握している方は少ないでしょう。ここでは、蓄電池を設置する際の消防法の適用条件について分かりやすく解説します。

 

家庭用蓄電池は4800Ah未満となっている

個人が自宅に設置する家庭用蓄電池の容量が20kWh未満である場合が多いのは、消防法により4800Ah未満と定められているためです。4800AhはkWhに換算すると17.76kWhに該当するため、多くの家庭では20kWh未満を設置しています。

 

4800Ah以上の機種の設置も可能ですが、煩雑な手続きが必要なため、あまり一般的ではありません。施工業者も推奨していない場合が多く、特別な理由がない限り、4800Ah未満の蓄電池を選ぶのが無難です。

 

燃えにくい素材の床に設置する

蓄電池は燃焼しにくい床に設置する必要があります。例えば、木製の床のように燃えやすい素材だと、発火して破裂した際に延焼する危険性があるためです。

 

さらに、蓄電池は耐酸性の床材の上に設置するように定められています。リチウムイオン電池は希硫酸と水素ガスを発生しやすいため、このような措置が取られていますが、アルカリ蓄電池は対象ではありません。

 

金属製の床材の場合は通気性が必要となる

金属性の床材の上に設置する場合、通気性を確保する必要があります。金属製の床は熱がこもりやすいため、台座の上に設置するといった熱を逃がす工夫をしましょう。

 

ただし、設置用の台座を置くにはある程度の開けたスペースが必要です。台座の上に設置するのが難しい場合、金属製ではなく、かつ燃焼しにくい土間のような床に設置しましょう。

 

換気しやすい環境を確保する

蓄電池を屋内に設置すると、蓄電池から発生する熱がこもりやすい状態になります。通気性の悪い環境下では、ほこりのような可燃性の微粉に引火して火災に発展する恐れがあるでしょう。排熱とほこりの除去のためには、換気設備を設ける必要があります。

 

蓄電池は窓や換気扇のそばに設置して、熱がこもったらすぐに換気できるようにするとよいでしょう。

 

ダクトや配線が壁を貫通する場合は燃えにくい素材で埋める

蓄電池の置き場所によっては、壁に穴を開けてダクトや配線を通さなければならないケースもあるでしょう。

 

このような場合、穴の隙間を不燃性の素材で埋める必要があります。蓄電池のパーツと壁がじかに接していると、壁を貫通するパーツが熱を持ったとき、燃焼して火災を招く恐れがあるためです。大切な家を守るため、しっかりとした防止策を施しましょう。

 

屋外に設置する場合は建築物から3m以上離す

蓄電池を屋外に設置する際には、建築物との距離を3m以上確保しなければなりません。蓄電池は熱を持ちやすいため、建築物から距離を離しておかないと発火したときに延焼する危険性があります。燃えやすい物を蓄電池の近くに置かないことも大切です。

 

ただし、不燃性素材を使用している機種や10kW未満の機種には、間隔を空ける決まりはありません。スペースを確保できない場合、これらの機種を選ぶのもよいでしょう。

 

浸水しない場所に設置する

電気を蓄えている蓄電池は、浸水すると漏電の危険性があります。本来は電気が流れることを想定していない部分に電気が漏れるため、近づいた際に感電する恐れがあり大変危険です。

 

蓄電池は漏電を検知して自動で電気を遮断する漏電ブレーカーを備えています。しかし、漏電の根本的な原因を取り除くのが最も安全です。蓄電池を設置する際は、浸水しない場所を選びましょう。

 

転倒や落下の防止対策をする

蓄電池に強い衝撃を与えると故障の原因になるため、しっかりと固定して落下や転倒を防ぐことが大事です。蓄電池設備に係る規定では、「振動又は衝撃により、容易に転倒し、落下し、破損し、又はき裂を生じず、かつ、その配線、配管等の接続部が容易に緩まない構造としなければならない」とあります。

 

蓄電池が故障すると、金銭的に多くの負担がかかるでしょう。故障を防ぐためにも転倒や落下の防止対策は十分に行う必要があります。

 

蓄電池にはみだりに近づかない

特に理由もなく蓄電池に近づくのは危険です。蓄電池や人体の安全を守るためにも、必要なとき以外は近づかないことを徹底します。特に、子どもやペットが蓄電池に触らないように注意しましょう。

 

基本的にメンテンナンスを担当する人員以外は、みだりに近づかないのが無難です。近づいただけで事故が起こるわけではありませんが、できる限りリスクを排除する意識を持つことが事故の抑制につながります。

 

4800Ah以上の蓄電池を設置する場合の届出の方法

4800Ah以上の蓄電池を設置する場合、設置前にあらかじめ消防署に届け出を行う必要があります。届け出の際は、正・副届出書を1部ずつ、添付図書として配置図や消防用設備の関係図書を用意しましょう。

 

窓口に届出書と必要書類を提出すると、書類審査の後、副本を返却されるのが一般的な流れです。手続きの所要時間は3日程度で、手数料はかかりません。

 

蓄電池が消防法に適用しているかは業者に任せる

蓄電池を安全に運用するには、利用者も消防法についてある程度の知識を持っていたほうがよいでしょう。しかし、消防法の規定は専門的な内容が多く、全てを理解するのは難しいのが実情です。

 

消防法の詳細は施工業者が把握しているため、利用者が全てを知る必要はないでしょう。また、蓄電池を設置する際に消防法の適用条件を満たしているかどうかも施工業者が確認してくれます。利用者は運用する際に大事な注意点を重点的に確認しましょう。

 

蓄電池には消防法による点検義務がある

消防法による蓄電池の規定には点検義務も含まれており、利用者は定期的に保守点検を行わなければなりません。点検や報告を怠ると、消防法違反で罰せられる恐れがあります。ここでは、点検の内容と周期を確認しましょう。

 

機器点検は半年に一度

蓄電池に必要な点検は2種類あります。そのうち、半年に一度行うのが機器点検で、点検内容は以下の18項目です。

 

1.設置状況

2.表示

3.自家発電装置

4.始動装置

5.制御装置

6.保護装置

7.計器類

8.燃料容器等

9.冷却水タンク

10.排気筒

11.配管

12.結線接続

13.接地

14.始動性能

15.運転性能

16.停止性能

17.耐震措置

18.予備品等

 

点検や整備は知識と技術を持つ専門家が行うのが適当とされており、業者に依頼するのが一般的です。点検だけでなく報告も義務のため、忘れずに消防署に報告しましょう。点検基準の詳細は消防庁のWebサイトでも確認できます。

 

総合点検は1年に一度

機器点検とは別に、1年に一度、総合点検を行う必要があります。機器点検が主に目視による点検で、外観と簡易的な操作で設備に不良がないかを確認するのに対し、総合点検は計器を用いて電流値などを計測する点検です。総合点検では以下の7項目を点検します。

 

1.接地抵抗

2.絶縁抵抗

3.自家発電装置の接続部

4.始動装置

5.保護装置

6.負荷運転または内部観察等

7.切替性能

 

上記の内容に加えて機器点検も実施します。基本的に点検作業は業者が行うため、利用者は点検を見守って報告を提出しましょう。より詳細な内容を知りたい方は、消防庁のWebサイトでご確認ください。

 

安全に蓄電池を設置するなら信頼性の高いプロの業者へ!

電気料金が安い夜間に蓄えた電力を昼間に放電して使用することで、電気代を節約するのが蓄電池の利用方法のひとつです。災害時の備えとしても役立ち、太陽光発電設備を設置していれば、さらにお得に利用できるでしょう。しかし、蓄電池のメリットを享受しながら効果的に運用するには、専門的な知識が必要です。

 

リベラルソリューションでは、蓄電池をはじめとした住宅用再生可能エネルギーに関するサービスを提供しています。豊富な知識と経験を持つプロフェッショナルが多数在籍し、お客様の住宅環境に適したサービスをご提案できるのが強みです。消防法を順守し、安全に蓄電池を導入したいとお考えの方は、リベラルソリューションにご相談ください。

 

まとめ

蓄電池は扱い方を誤ると発火や爆発の危険性があるため、安全に運用するために消防法を順守する必要があります。容量や設置方法に関して細かい規定があるため、導入の際には信頼できるプロのサポートが不可欠です。

 

リベラルソリューションでは、初めて蓄電池を導入する方でも不安なくご利用いただけるように、充実したサポートをご用意しています。蓄電池の購入をお考えの方は、ぜひ実績豊富なリベラルソリューションへご相談ください。

 

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